秋ふかし おいらはひとり 旅支度

秋ふかし おいらはひとり 旅支度

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  • 制作:中村 忍
  • 原画:トリノまさる
秋ふかし おいらはひとり 旅支度
カッパシリーズでお馴染みのトリノ先生のイラストを
当会の講師の中村忍が制作した作品です。
中村さんと言えば“カッパ”と言われるくらいに
トリノ先生の描くカッパの世界(KAPPARADAISE)の
全作品を3Dピクチャーに再現されと事でも知られています。
その中村さんがこんなに早くに本当に旅立ってしまうとは・・・
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ここからは中村忍氏の事を紹介させて頂きます。
3Dシャドーボックスアートは圧倒的に女性の愛好家が多いのですが、
そんな中で、当会の男性講師として活躍していた中村さんが
2015年10月18日 午前4時40分 旅立たれました。
享年74歳でした。
この作品を作られてから10年は経ちますが、作品画像を見ながら
中村さんと共に歩いてきた沢山の出来事を思い出しています。
中村さんが私の作る3Dピクチャーに共感してくれて
生徒さんになったのは1999年の事で、彼が58歳の時でした。
亡くなるまでの16年の歳月の中で、
中村さんが作った作品数の多さは驚く程でした。
彼の口癖は、兄弟姉妹全員が癌で60歳までに亡くなっているので、
自分に残された寿命は2年しかない。だから人の3倍頑張る!と、
いつもそんな事を言って、本当に同じ作品を3〜4個ずつ作っていました。
生来、手先の器用な方でしたので、
水を得た魚のように、その成長ぶりは著しく驚く程でした。
緻密な「3APのアントンペックの写真屋さん」を3作品作ったのには
驚きでした。
講師資格も最短の5年で取得されたのは言うまでもありませんした。
当会の展示会と銀座伊東屋での3Dシャドーボックスアート協会の
展示会にも毎回出展されていて、ユニークかつ緻密な作品創りには
定評がありました。
また展示会の裏方としても、搬入・設営・搬出と
いつも最後まで私の手伝いをして支えてくれました。
いまでも忘れられない思い出は、2011.3.11の震災直後の銀座伊東屋展。
展示会の開催日が3月14日だったので、前日の13日に設営をしなければ
ならなくて、この時に車を出してくれたのは中村さんでした。
震災の直後で皆さんが普通の精神状態ではなく、
自分の事しか考えられなくなっている人が多い状態でした。
そのような状況の中でしたが、中村さんは違う会派の作品で
おじぎをしてしまい綺麗に展示できない作品の額のフックの
付け替え作業の全てを黙々とやってくれました。
皆さんが帰られてしまい、残ったのは我々だけで、
銀座を出たのは夕刻になっていました。
その時は我々が帰宅難民になるとは思いもしなかったのですが、、、
中村さんと私ともう一人若い講師と、
埼玉に向かう車中で色々な事をおしゃべりしました。
誰が見ていようがいまいが、銀座伊東屋での展示会の
縁の下の力持ちになってくれた事に対して感謝の気持ちを
伝えると、3Dピクチャーに出会えて皆さんの仲間になれた事が
嬉しいので、どんなお手伝いも苦ではないと言ってくれました。
後で、すごい渋滞とガス欠が待っていて大変な思いをしたので、
今でも2011.3.11直後の伊東屋展は忘れられない記憶として
残っています。
その時の彼の行動の全ての精神はしっかりと若い講師に引き継がれました。
展示会の縁の下の力持ちの存在の大きさ。
中村さんは作品の素晴らしさだけではなく、大きな背中で教えてくれました。
“人の為にしてあげた事は必ず返ってくる。
 自分に返ってこなくても子供や孫に返ってくるから、それでいい。”
 これが彼の持論でした
 
昨日、中村宅を弔問し、氏に会ってきました。
眠っているように安らかで、素晴らしい成仏の相でした。
奥様からはやりたい事をやって逝ったので、「よい人生でした・・・」と。
私は彼の冥福を祈ると共に、
後に続く展示会の事(遺作展)は私がしっかりと立ち上げるから
心配しなくて大丈夫と、彼に話しかけて頭と頬を撫でてあげました。
私にとっては同志でもあり兄のように優しい人でした。
私には彼の作品を沢山の方達に観て頂く使命があり、
早速に彼の個展のお手伝いの準備に入っています。
通夜と葬儀会場にも作品の一部が展示される事になりましたし、
来年の2月28日〜4月29日まで、中村忍の個展が2ヶ月間に渡り、
蕨市の民俗資料館にて大々的に開催されます。
2015年12月の新宿京王プラザのアートロビーには
彼の新作であるLED作品“おめでとう!東京五輪2020”を
遺作として出展致します。
皆様、彼の作品をご覧になって癒されて下さい。
きっと天国の中村さんが喜んでくれます。
最後になりますが、生前、中村忍と親しくして下さいました
関係各位の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。
ありがとうございました。
3Dピクチャー・カリフォルニア会
主宰 開高 悦子